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独りごち

溢れる人の中で揺れる丁髷、ふぇんでぃ。

 

口争う旅行者二人

どの列車に乗ってもいいじゃないかと、券売機は言う。

ベーグルの福袋か化粧品の福袋か

混じり合った匂いが手の甲に絡みつく

 

今年の大根はもう済ませた。

いや大根はまだお前の帰りを待っている。

終わりのない大根の桂剥き

ハスッパな蓮根みたいに糸を引かない。

大坂の環状線だからさ

 

星が煌めく町がはやく帰れと言った

本当だ昨日から空が透き通って

神社のリカーに梅が浮いている。

 

肺に空気を入れないと

ヤニ黒のこの肺に

泣く母と田舎に向かう列車に乗った鶴橋駅を通り過ぎ

口争う旅行者は女性専用車に乗り込み

ふぇんでぃは車掌になっている

 

大滝のところまで

リカーと梅を運びに行かなきゃ

星明かりを頼りに列車は南へ走り続けた

 

 

 

2020.01,02